書名:スマホ認知症
著者:西岡壱誠
出版社:KKベストセラーズ(ベスト新書)
発売日:2025年12月19日
第1章 スマホ時代は、人にどんな悪影響を及ぼしているか
第2章 スマホ時代に出てきた「スマホ認知症」とは何か
第3章 スマホ時代の生徒たちは、「選択」をしない
第4章 現役東大生100人に聞いた!「スマホに振り回されない」5つのルール
第5章 スマホ時代の勉強法とその落とし穴
第6章 スマホ時代、親は子供にどう関わるべきか
「高齢者向け」の本だと思って読み始めましたが、「子育て」の本でした。スマートフォンが私たちの脳に与える影響をわかりやすく解説した一冊です。
スマホを悪者扱いするのではなく、子どもがうまくスマホと付き合えるようにするにはどうすればよいかという内容です。
「スマホを使うな」ということではありません
タイトルだけを見ると少し刺激的な印象を受けますが、本書が伝えたいのは「スマホを使うな」ということではありません。便利な道具であるスマートフォンとどのように付き合えば、脳の働きを保ちながら生活できるのかを、多くの事例や研究をもとに紹介しています。
本書で印象的だったのは、「スマホ認知症」とは病気そのものではなく、スマートフォンへの過度な依存によって、記憶力や集中力、思考力が一時的に低下した状態を指しているという点です。知りたいことがあればすぐに検索し、予定はスマホに任せ、暇があればSNSや動画を眺める。このような生活が続くことで、自分の頭で考えたり記憶したりする機会が減り、脳の働きが鈍くなってしまう可能性があるという指摘には大いに考えさせられました。
子育て中の保護者に読んでもらいたい
特に本書は、子育て中の保護者にとっても示唆に富んだ内容だと感じました。近年では、小さな子どもでもスマートフォンやタブレットに触れる機会が増えています。学習アプリや動画配信サービスなど、教育に役立つ面もありますが、一方で長時間の利用が子どもの集中力や想像力に影響を及ぼすことも懸念されています。本書を読むと、「子どもにスマホを持たせるかどうか」という単純な問題ではなく、「どのような使い方を家庭で身につけるか」が重要なのだと理解できます。
また、子どもにスマホとの付き合い方を教えるためには、まず大人自身の姿勢が問われることにも気づかされました。子どもに「スマホばかり見ないで」と言いながら、親自身が食事中や会話中もスマホを手放せないのであれば、説得力はありません。本書は、大人自身がスマホとの距離を見直し、その姿を通して子どもに良い習慣を伝えることの大切さを教えてくれます。
さらに、本書では、スマホから少し離れて読書や散歩、人との対話など、脳を積極的に働かせる時間を意識的につくることがすすめられています。これらは子育てにもそのまま応用できる考え方です。親子で本を読んだり、公園で遊んだり、今日あった出来事をゆっくり話し合ったりする時間は、子どもの脳の発達だけでなく、親子の信頼関係を深める貴重な機会になるでしょう。
スマホを日常的に使うすべての人にとって参考になる一冊です
本書は専門的な内容を扱いながらも、難しい医学用語に偏ることなく、誰でも読みやすい文章でまとめられています。そのため、スマホを日常的に使うすべての人にとって参考になる一冊です。特に子育て世代にとっては、子どものスマホ利用を考えるだけでなく、自分自身の生活習慣を見直すきっかけを与えてくれる本だと思います。
スマートフォンは現代社会に欠かせない便利な道具ですが、使い方を誤れば私たちの思考力や記憶力に影響を及ぼす可能性があります。本書は、その危険性を過度にあおるのではなく、便利さを享受しながら脳の健康も守るための実践的なヒントを数多く示しています。子どもたちがこれからデジタル社会を生きていく時代だからこそ、大人が正しい知識を身につけ、家庭の中でスマホとの健全な付き合い方を考える重要性を改めて感じさせてくれる一冊でした。

